イタリアの食卓にナス(Melanzana)は欠かせない。南イタリアでは「メランツァーネ・アッラ・パルミジャーナ」と呼ばれる重ね焼きが家庭料理の定番だし、シチリアでは揚げて煮込んだ「カポナータ」が前菜として親しまれている。ナスは肉と並ぶ「主役を張れる野菜」として、長く愛されてきた素材だ。

京都・北白川のイタリアン Bello Vero(ベッロベーロ)では、肉厚で甘みの強い米ナスを半分に割り、表面に格子の切れ目を入れてじっくり焼き、その上に牛すじから引いたボロネーゼソースと溶かしたチーズを重ねて仕上げる。Secondo(メイン)の中でも、肉を食べたいけれど重すぎない一皿がほしい——そんな夜にちょうどいい構成だ。

米ナスを半割りで、皿の上の主役に

米ナスは皮が黒く、果肉が厚くて甘みがあり、加熱するととろりとした口当たりになる品種。日本では夏から秋にかけて店頭に並ぶ。Bello Vero ではこの米ナスを半割りで丸ごと一皿に置く。表面には細かく格子の切り込みを入れ、皮の側はパリッと、内側はジュースを抱えたまま柔らかく仕上がるように、時間をかけて焼く。

焼き上がった米ナスの上に、たっぷりとボロネーゼソースをかけ、その上にチーズをのせて表面で溶かす。仕上げにフレッシュなタイムを添えて、皿の縁にもパルミジャーノを散らす——切ると、ナスのとろりとした果肉と、肉の旨味、チーズの塩気がいっぺんに口に流れ込んでくる。一皿で野菜・肉・チーズのすべてを味わえる、ボリューム感のある仕立てだ。

ボロネーゼは、Bello Vero の根幹にある味

のせているボロネーゼは、Bello Vero のパスタ「牛すじボロネーゼ」と同じ仕込みのもの。柔らかく煮た牛すじを赤ワインと香味野菜でじっくり炒め、トマトと一緒に長時間煮込んでつくる、店の根幹にある味だ。

パスタにかければ濃厚な一皿になるし、こうして米ナスにかければ、ナスの甘みと果汁を吸って、ソースの輪郭がさらに深くなる。同じソースが、麺と野菜でまったく違う表情を見せる——ここがイタリア料理のおもしろいところで、ボロネーゼ系のメニューを2品頼むとそれがよくわかる。

チーズを上で溶かして、米ナスをまとめる

米ナスとボロネーゼだけでも料理として成立するが、Bello Vero はそこにチーズを重ねて表面で溶かす仕立てを取っている。トロッと垂れたチーズが、ナスとソースを一枚の毛布のように包み、口に運ぶたびに引き伸ばされる——この仕草自体が、この料理を「夜のごちそう」にしている。

仕上げのパルミジャーノ・レッジャーノは皿の縁にも振ってあるので、ナスの果肉に絡めても、ソースの脂をすくっても、最後まで塩気と旨味の余韻が続く。タイムの香りがそこに細く立ち上がって、肉とチーズの重さを軽くまとめてくれる。

米ナスのグリル ボロネーゼソース
半割りにした米ナスをじっくり焼き、牛すじから引いたボロネーゼとチーズを重ねて仕上げる一皿。タイムとパルミジャーノで香りを立てて。

合わせるワイン

ボロネーゼと米ナスの組み合わせには、イタリア中部の中程度ボディの赤がよく合う。トスカーナのサンジョヴェーゼ系(キアンティ・クラシコなど)は、トマトの酸味と肉の旨味の両方に寄り添ってくれる定番の選択。チーズを溶かした重さを軽く受け止めるくらいの渋みが、ちょうどいい。

もう少し力強いものなら、南イタリアのプリミティーヴォやアリアニコもよく合う。ナスとトマトという南イタリア的な組み合わせに、同じ土地の赤ワインを合わせるのは、料理とワインの「土地が同じ」という直感的な楽しさがある。Bello Vero では入荷ごとに変わるイタリアの自然派ワインをそろえているので、その日のリストから一本を選んでもらえる。

白でいくなら、樽香のついたシャルドネか、コクのあるオレンジワインを。重めの白なら、チーズの脂とちゃんと釣り合う。ワインはボトルでのご提供のみ、グラスシャンパーニュだけは一杯から楽しめる。

ベジタリアンメニューとしても

Bello Vero ではベジタリアン対応のメニューも用意していて、ボロネーゼなしの「米ナスのグリル」もリクエストでお出しできる。チーズとタイム、パルミジャーノ、オリーブオイルだけで仕上げれば、肉を使わなくても米ナスの甘みとチーズの塩気で十分にメインを張れる。

ベジタリアンの方にも、その日の気分で肉を控えたい方にも、ナスを主役にしたメインはうれしい選択肢になる。注文時に「肉なしで」と一言かけてもらえれば、その場で対応する。

北白川という、京都の端っこで——銀閣寺から徒歩15分の穴場

北白川エリアは、京都の中でも観光地とローカルエリアが重なる独特の場所だ。銀閣寺から白川通りを北へ10〜15分ほど歩くと、このあたりに出る。哲学の道の北端からも徒歩10分圏内。京都大学や京都芸術大学のすぐ近くで、昔から学生とご近所さんが混じり合う街でもある。

銀閣寺周辺の飲食店は17〜18時に閉まってしまう店が多く、観光のあと夜ごはんを食べる場所を探して困ることもある。Bello Vero は 13:00 から 22:00 まで通し営業しているので、銀閣寺・哲学の道をゆっくり歩いたあとの遅めの夕食にも、昼下がりの昼飲みにも使える、北白川の穴場として気軽に立ち寄ってほしい。米ナスのグリルを一皿、ボロネーゼと一緒に——夜のメインに、ぜひどうぞ。

Contorno e Secondo — 付け合わせ・メインの品揃え

Bello Vero のメインメニューには、米ナスのグリルのほかに、ランプレドット、サルシッチャ、ステーキといった一皿が並ぶ。煮込み・焼き・揚げの3つの調理法から、その日の気分で選んでほしい。

銀閣寺・哲学の道からのアクセス

銀閣寺を観光したあと、白川通りを北へそのまま上がれば徒歩10〜15分ほどで到着する。哲学の道の北端からも徒歩10分圏内。市バス「北白川」停留所からは徒歩約2分、叡山電鉄「茶山・京都芸術大学」駅からは徒歩10分ほどの距離だ。

📍 京都市左京区北白川久保田町64番17
🕐 火〜日 13:00〜22:00(L.O. 21:30)/月曜定休
🚶 銀閣寺から徒歩約15分 / 哲学の道(北端)から約12分 / 市バス「北白川」から徒歩2分
📅 ご予約は Web予約 / TableCheck または お電話 075-600-0740